アメリカのクレジットカードは入会特典が非常に魅力的で、この一枚さえ作れば全てが丸く収まるというものではありません。
かといって、複数の入会特典を獲得するために、何枚も無制限に作成できるようなものでもないので、作れる枚数と作りたいカードのバランスを考えながら戦略的にクレジットカードを作っていく必要があります。
日本で使っているクレジットカードが好きだから、お得だからという理由でアメリカでのクレジットカードの発行を考えていない人も見受けられますが、以下の記事で解説しているように、まず間違いなく損をすることになると思います。
➡ 海外赴任が決まったら作るクレカと捨てるクレカ。渡航前のクレカ整理のポイントを解説します。 - 米国の僻地で暮らす駐在員のブログ
つまり、アメリカ赴任になると必然的に現地のクレジットカードの作成が必要になるわけでして、どうせ作成するならお得にお得にお得にクレジットカード生活を送るべきだと筆者は常々考えています。
そこで、この記事では自身の体験を基にして、例えば今後自分の会社の後輩の海外赴任が決まったらどのようなアドバイスをするか?という親心的な視点で、アメリカでの戦略的クレジットカード発行について考察していきたいと思います。
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- まずは全体像を図解で
- 【赴任前】赴任前から勝負は始まっている!
- 【赴任月】ANA・JALカードUSAは自分の分だけ作る!
- 【赴任2ヵ月~1年】アメックス保有者はここで差が付く!
- 【赴任後1年~】いよいよチェースのカードデビュー!
- 【まとめ】あとは自分のお気に入りのカードを作るのみ
まずは全体像を図解で
とりあえず本題に入る前に、これから説明することを全体図で以下に掲載しておきたいと思います。
この流れに沿って説明が進んでいくので、都度立ち止まって見返すようにしていたくと理解が深まるかと思います。
【赴任前】赴任前から勝負は始まっている!
いきなり超重要なことを言いますが、赴任前から勝負は始まっています。
というのも、アメリカではクレジットヒストリーが全てで、クレジットヒストリーが白紙の状態の海外駐在員はクレジットカードを作ることが難しいとされています。
それ故、駐在初期の頃は、アメリカでのクレジットヒストリーがなくても駐在員ステータスで比較的容易に作成することのできるANAカードUSAやJALカードUSAといった定番のカードが必要になるわけです。
しかし、もし仮に内示が非常に早いなどの理由で赴任までに相応な時間があれば、アメリカンエキスプレス(以下:アメックス)でクレヒスを作るという裏技が存在します。
詳しくは以下の記事で解説をしていますが、要約すると「日本のクレヒスを使ってアメリカで赴任直後からアメックスのカードを作れる可能性があるという話で、赴任までに相応な時間があるのならば日本にいる間にアメックスで信用を貯めておきましょう」という内容です。
➡ 米国赴任者予定者必見!日本でのアメックスの利用情報を引き継ぐ方法 - 米国の僻地で暮らす駐在員のブログ
ちなみに、もし既にアメックスを持っている場合、赴任するまで確実な返済を心掛け、解約せずにそのまま保持し続けることをオススメします。
【赴任月】ANA・JALカードUSAは自分の分だけ作る!
赴任までに時間がない場合は上記のアメックス作戦を実行するのが難しいと思います。
また、アメックスを保有していても赴任後に確実に作れる保証はないので、定番のANAカードUSAか、JALカードUSAを一枚は保有しておくことが望ましいです。
この時、なくしたら困るからという理由や、どっちの航空会社をメインで使うことになるか分からないからという理由でANAとJALの両方を作ったりする人もいますが、以下の理由で全くオススメしません。
ちなみに同様の理由から、家族カード(Authorized User)も一切作らないか、最小枚数に留めておくことをオススメします。
チェースの5/24ルールに要注意
これは非常に大切な概念で、アメリカの陸マイラーを含めて米国のクレジットカード界隈では常識となっているルールです。
これは、過去24ヵ月(2年)の間に家族カードを含めて5枚以上カードを作った人は、JPMorgan Chase(以下:チェース)の審査で自動的に弾かれてしまうという、決して明文化されていないけど人類の執念によって解明された独自の審査基準のことを指します。
仮にANAカードUSAと、JALカードUSAをそれぞれ作成した場合、カウントが2枚となります。
もっと言うと、それぞれに家族カード(Authorized User)を付帯した場合、2×2=4枚となり、赴任月にして早くもリーチがかかってしまうことになります。
それでも、「あと一枚作ることができるじゃん!」と思うかもしれませんが、チェースはプロパーカードを含め、提携カードにも魅力的なものが多く、複数枚作れる余裕を残しておいた方が後々かなり選択肢に幅を持たせることができるでしょう。
【赴任2ヵ月~1年】アメックス保有者はここで差が付く!
手持ちのANAカードUSAやJALカードUSAをいつまで使い続けるのか否か、赴任前に日本でアメックスを保有していた人はここで圧倒的な差が付き始めます。
先に述べた通り、日本国内でのアメックス保有者の場合、日本でのクレヒスを引き継ぐことで赴任後比較的早い段階でアメックスのクレジットカードを作ることが可能です。
ここで筆者がオススメするカードは年会費無料で還元率が常時2%を誇る、AMEX Blue Businessです。
AMEX Blue Businessには、AMEX Blue Business PlusとAMEX Blue Business Cashという二種類のカードが存在していて、違いは以下の通りです。
要するに、ポイントの還元方法がキャッシュバックなのか、ポイントなのかの違いであり、「あなたはマイル派ですか?それともキャッシュバックを貰ってその分を株式投資なんかに充てたいですか?」という宗教観の違いだと思っておいてください。
詳細については以下の記事でそれぞれ解説していますので、是非ご覧になってみて下さい。
➡ 常時2%還元のBlue Business Cashを作ってみた!オススメする理由と申込方法も徹底解説。 - 米国の僻地で暮らす駐在員のブログ
➡ 最強のアメックス、Blue Business Plusを作ってみた!オススメ理由と申込み方法を徹底解説します。 - 米国の僻地で暮らす駐在員のブログ
ちなみに、ビジネスという名を冠している通り、このカードは個人事業主を含む法人向けカードではありますが、我々のような個人でも簡単に作ることができます。
とは言っても、「アメックスゴールドとか、アメックスプラチナの方がステータス感があるし、入会特典もお得でベターなのでは?」と思うでしょう。
個人的には同感ですが、以下の理由からこの時期はビジネスカードの作成をオススメしています。
ビジネスカードはチェースの5/24ルール対象外
前述した通り、チェースには5/24ルールという暗黙の了解が存在しています。
しかし、このルールには抜け道があり、ビジネスカードは枚数にカウントされないということが判明しています。(※DiscoverやCapital One等を除く一部のビジネスカードのみ)
アメックスのビジネスカードはこちらのルールの対象外であることが分かっているため、何枚作っても後々チェースのカードの枠を食いつぶすことはありません。
つまり、赴任後しばらくは兎にも角にもチェースの残枠を意識して、5/24ルールに抵触するアメックスゴールドやアメックスプラチナを避け、ビジネスカード(その中でもお得なものから)から作っていくことが合理的な判断となるのです。
【赴任後1年~】いよいよチェースのカードデビュー!
赴任後1年前後になったら、いよいよチェースのクレジットカードの申し込みが本格的にスタートします。
前々から気になっていた人もいるかもしれませんが、なぜ1年も待つ必要があるかというと、1年未満のクレヒスだとチェースの審査は通らないからです。
これに関しては、実際に自分で経験していてほぼ確信めいたものを持っているので、以下の記事を熟読されることをオススメします。
➡ 悲報!チェースのクレカで2度目の審査落ち。赴任1年目の作成は厳しいのか? - 米国の僻地で暮らす駐在員のブログ
➡ 苦節半年でチェースのクレジットカード審査に合格!一年ルールは存在すると確信した話。 - 米国の僻地で暮らす駐在員のブログ
これまでに記載したルールを遵守していれば、この時点で恐らく大量の枠が残っていると思います。
そこで、筆者がオススメしたいカードはChase Sapphire Preferredです。
詳細は以下の記事に書いてある通りですが、要約すると「このカードは入会特典がハチャメチャに良く、年会費95ドル必要だけど、750ドル相当(キャンペーン中はもっと!)が貰えてしまうので絶対に作ろうな」という内容です。
➡ 【必見】Chase Sapphire Preferredを作るべき理由と、使うべきでない理由を徹底解説! - 米国の僻地で暮らす駐在員のブログ
【まとめ】あとは自分のお気に入りのカードを作るのみ
無事にチェースのカードを作ることができた皆様、おめでとうございます。
ここまで約1年以上、5/24ルールを遵守するためだけに作るべきクレジットカードを選んできましたが、この後は晴れて自由の身となるのです。
チェースの枠がある限りチェースのクレジットカードを優先的に作り、欲しいチェースのカードがなくなればアメックスゴールドでもアメックスプラチナでもなんでもいい、自分の好きなカードを選んでいくだけです。
例えば、手数料無料で家賃の支払いができてポイントまで貯めることができる、こんなカードはどうでしょうか?
➡ 【手数料ゼロ】家賃が払える”BILT”のクレカが素晴らしい件。賃貸物件に住む人は必携の一枚! - 山岳部標準時帯で暮らすアメリカ駐在員のブログ
とにかく大事なのは、赴任前後の初動であり、ここで間違えると後々リカバリーに非常に時間がかかってしまいます。
特に、5/24ルールに一度でも引っ掛かってしまうと、2年間もカードの新規申し込みを控える必要があり、その間の機会損失は非常に大きくなってしまいます。
その他の筆者が考えるオススメのクレジットカードに関しては、またいつか別の機会に紹介できればと思います。
この記事を通して、赴任初期の一番重要な時期のアメリカでのオススメのクレジットカードの選び方を理解して頂ければ幸いでございます。
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