海外赴任が決まった瞬間から、様々な変化が身の回りに訪れます。
引っ越しに向けて断捨離をしたり、海外生活に必要な新しい家財道具を新調したり、役所や金融機関への届け出をしたり。
買い物関係は赴任先の国でなんとかなるものも多く、焦って買い揃えても振り返ると大したことないのですが、物理的に日本にいないといけない系のものは注意が必要です。
クレジットカードなんかはその典型で、赴任前に見直すべきものの筆頭と思っています。
この記事では、海外赴任が決まったら手元のクレジットカードをどうやって整理していくべきか、そのポイントや考え方について解説していきたいと思います。
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海外赴任が決まったら新しいカードを作るべき?
海外赴任が決まると、マイルを貯めたいとか、旅行先で優遇を受けたいと思って普段の生活圏から離れた新しいカードを作りたくなると思いますが、個人的にはオススメしません。
むしろ、以下で説明する理由を根拠に、海外赴任のタイミングで手持ちの日本のクレジットカードは積極的に断捨離していくべきだとさえ考えています。
- クレジットカードの海外利用手数料は高い
- 国内航空会社のマイルは他社ポイントか提携航空会社で貯められる
クレジットカードの海外利用は高い
日本のクレジットカードを海外で利用する場合、決済は現地の通貨で行われますが、請求は日本円で来るようになっていると思います。
この時の為替レートは各国際ブランド(VISA, Mastercard, Amex, JCB, Diners)が定める為替レートが適用されることになっていますが、カード会社は現地通貨から日本円への両替にかかる事務手数料を加算して請求してくることになります。
この事務手数料はカード会社によって料率が異なりますが、おおよそ1.5%~2.5%くらいの範囲に収まっているようです。
これらの情報はカード会社で開示されているはずなので、気になる場合はカード会社のFAQコーナーなどを覗いてみるといいでしょう。
短期の旅行などでは、多額の現金を持ち歩くのはリスクが高く、事務手数料を払ってでもカードで決済をすることが望ましいかもしれませんが、海外で長期間生活をするにあたり、海外利用手数料の存在は無視できないというわけです。
つまり、仮にマイルが今より1%多く貯まるからと言って新しいカードを作っても、海外利用ではそれよりも高い手数料を払うことになるということを肝に銘じておきましょう。
国内航空会社のマイルは他社ポイントか提携航空会社で貯められる
「ANAのマイルが貯めたいから新しくANAカードを作ります!」というのも一見正しいように見えますが、本当に必要かと言われると「まずはリサーチすべし」が答えだと思います。
例えば、アメリカではAMEXのBlue Business Plus Cardという2%還元のカードが存在します。
➡ 【紹介限定15,000pt特典有】最強のアメックス、Blue Business Plusを作ってみた!オススメ理由と申込み方法を徹底解説します。 - 米国の僻地で暮らす駐在員のブログ
ここで貯めたAMEXのMembership Rewards Pointは、1pt = 1mileでANAのマイレージに交換することが可能です。
つまり、ANAの名を冠した提携カードでなくとも、そのカード以上に効率的にマイルを稼ぐことができるカードがこの世には存在するということです。
誰もが日本の航空会社に乗って優雅に駐在生活を送りたいと思いますが、日本でカードを作っていこうという安直な思考回路は一旦ストップして、迂回方法が何かないか探してみましょう!というのが判断のポイントになります。
海外赴任が決まって新しく作るべきカードは?
もちろん、全てのカードを解約する必要はありませんし、むしろ日本に一時帰国した際などには必要になってくるでしょう。
残すべきカード、或いは新しく作るとしたら以下で説明する基準を元に検討するといいかと思います。
- 年会費が永年無料のカード
- 海外からでも使えるポイントがあるカード
- 持っているだけでメリットのあるカード
年会費が永年無料のカード
上記で挙げた通り、「海外での利用は高い」ので、赴任後現地のクレジットカードを作り始めると必然的に日本で発行したクレジットカードの利用機会は減ってくると思います。
そんなときに年会費の発生するカードを保有していると、ただの宝の持ち腐れになってしまいます。
年会費永年無料のカードであれば、保有していても本当に必要なときだけ取り出して使っても損することはありません。
大原則として、年会費永年無料のカードを作るようにしましょう。
海外から使えるポイントがあるカード
次に、せっかく作るのであれば、海外からでも使えるポイントか、使った金額からキャッシュバック分が自動的に差し引かれて請求が来るようなタイプのカードがいいでしょう。
具体的な例として挙げると、楽天カードの場合、貯まった楽天ポイント(通常ポイント)をカードの支払いに充てることができます。
➡ ポイントを月々のお支払いに!ポイントで支払いサービス|楽天カード
お店でしか使えないポイントを貯めても、日本に一時帰国したときにしか使えない、或いは一時帰国を待っている間にポイントが失効してしまうなんてことになりかねないので、「海外から使えるポイント」は海外生活で想像以上に強い味方となります。
持っているだけでメリットのあるカード
最後に、クレジットカードの中には持っているだけでメリットを享受できるタイプのカードがあります。
例えば、そのカードを持っているだけで自動的に会員ランクが上がったり、会員以外アクセスできない場所へのアクセスが許されるカードなどです。
パッと思いつくところで言うと、ホテル系のカードでのステータス特典、航空系のカードでのラウンジ特典などがこれにあたるかと思います。
「あれ、さっき航空会社系のカードを否定していたような」と思うかもしれませんが、持っているだけでメリットがある、つまり、高い海外利用手数料を払わなくてもメリットを享受できるという意味において矛盾はしません。
噛み砕いていうならば、年会費を払う(課金することによって)ポイントが貯まりやすい系の「使えば使うほどお得なカード勢」は海外利用においてそのメリットは激減するけれども、年会費を払ってステータスを購入してしまう系のカードは、その対価に見合ってさえいればあえて断捨離する必要はないと思うわけです。
ここまでのおさらい
ということで、ここまでなんやかんやと難癖をつけてきましたが、自分が考えていることを図にしてみると以下のようになるかと思います。
赴任が決まって手元のカードを整理しなきゃいけない状況に際しては、是非以下のフローチャートを活用して頂けると、判断に迷うことはないかと思います。
以下で結論が「断捨離」となった場合、新しく作るメリットもなければ、保有しているメリットもあまりないので、早々に見切りをつけることをオススメします。

こんな例外的な場合もある
ただし、世の中には常に例外というものが存在していて、例えば以下のケースなどは使えば使うほどお得系のカードをフルに活用することができます。
- 立て替え払いが多く、円建てで会社に請求が可能な場合
どういうことかというと、ドルで支払ったものを最終的に会社に経費として請求することができて、且つ、日本円の請求金額を元に精算してくれる場合です。
上記一番最初の図を例にすると、100ドルのモノを日本のカードで立替払いし、会社に実際の請求金額である10,200円を円建てで請求できる場合です。
ドル建ての場合、100ドルのモノを立替払いすると100ドルが振り込まれるので、200円は実質的に自己負担ということになってしまう恐れがあります。
だからこそ現地のカードを一刻も早く作る必要があるのですが、会社によっては生計費含め各種補助や経費精算を全て円建てで行ってくれる場合があるかもしれません。
この場合は、海外利用手数料を無視できるので、例外的に日本の高還元カードを有効に使うことができるでしょう。
おわりに
以上、海外駐在に伴ってカードの見直しをしようと思っている人向けに自分の経験から感じたことをつらつらと述べてきました。
海外赴任が決まるとなんとなくソワソワして、今までと違うカードを作るいい機会だ!と早まってしまうかもしれませんが、実は日本のカードを作るメリットはそんなにないということを理解していただければと思います。
もちろん、例外の欄で述べた通り、状況は一人一人異なると思いますし、信念も違うと思いますので一概にこれが完璧と断言することはできません。
それでも、今持っているカードをどのように整理して、どういう基準で新しいカードを作るべきか悩んでいる人に、少しでもヒントを与えることができたならば幸いでございます。
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