前回の記事で、イエローストーン国立公園の観光日数について触れました。
➡ イエローストーン観光プランニング編~必要日数と宿泊場所について~ - 米国の僻地で暮らす駐在員のブログ
そして、次に考えないといけないのが「実際に何を見たらいいんだっけ?」という部分です。
イエローストーン国立公園はその広大さ故、見所が無数に存在しており、「間欠泉が有名らしいね!」くらいの知識で訪れるには勿体ない場所です。
今回の記事では、実際に筆者が訪れたコースを元に、抑えておきたいポイントをご紹介していきたいと思います。
ちなみに前回の記事で推奨している通り、イエローストーン国立公園で丸々2日間の日程を割けることを前提に書き進めていきますので、くれぐれもご留意ください。
Sponsored Link
北と南で分けて考えるところから始める。
まず最初に覚えておくべきことは、イエローストーン国立公園は数字の「8」の字のように園内の幹線道路が走っていることです。
上記の園内マップを見て分かる通り、上下左右の入り口から伸びる道路は全て上下ふたつの大きな円に合流しています。
この円状になった道路をそれぞれ「ノースループ(North Loop)」と「サウスループ(South Loop)」と呼びます。※アッパーループ(Upper Loop)とロウアーループ(Lower Loop)と呼ぶ場合もあるようです。
そして、それぞれに丸一日を費やすというのが最も現実的で無理のないスケジュールになるので、今回はこの法則に従って説明を進めていきたいと思います。
Day1 : サウスループ沿いの見所を巡る
我々はイエローストーンの園内観光初日に、サウスループから見て回ることにしました。
理由としては、事前の計画ではサウスループの方が「行きたい場所」の数が多く、初日の方が体力が残っていて踏ん張りが効きそうだと判断したからです。
初日に朝から晩までドライブして翌日に疲れが残っていたとしても、出発を多少遅らせるなどして調整が効きそうという、本当に個人的な理由からサウスループを選びました。
サウスループの見所一覧
そのサウスループの見所ですが、我々が実際に訪れた場所も含めて以下に記載します。
数字の順番は、西口から入って反時計回りに回った場合に近い順で記載していて、実際に我々が辿った足跡をトレースしている形になります。
以下に、それぞれの見所について詳細を記載していきたいと思います。
1. Lower Geyer Basin
Lower Geyser Basinはこのエリア一帯を指していて、西口から最も近い見所の一つです。
辺り一帯に熱泉や間欠泉が無数に存在しているので、駐車場に車を停めて、Fountain Paint Pot Trailというトレイルを歩いて回るのがここの観光方法です。
所要時間はサクサクと見て回れば20〜30分程度で、それほど時間を割く必要はないかと思います。
2. Midway Geyser Basin
イエローストーン国立公園の見所の中でも一際有名なカラフルな熱泉、Grand Prismatic Spring(グランドプリズマティックスプリング)があるエリアになります。
このエリアの回り方ですが、まずは正攻法でGrand Prismatic Springの駐車場に車を停めて、テクテクと丘を登って行きましょう。
そして、Grand Prismatic Springに到着した貴方は、「近すぎて全くわからん」という感想を持つことでしょう。
なんとなく雰囲気で色彩を感じはするものの、目線の高さからではその色彩の全容を捉えることは不可能に近いでしょう。
そこで次に、Midway Geyser Basinを一望できる展望スポットまで移動することをオススメします。
Grand Prismatic Springの駐車場から車で更に3分程進むと、Fairy Falls Trailというトレイルの駐車場があり、そこから徒歩で15分程で、Grand Prismatic Springを含めたMidway Geyser Basin全体を上空から一望することができます。
これだけでもイエローストーン国立公園に来た価値があると思えるほどの絶景で、筆者も死ぬまでに見ておきたいと思っていた景色の一つです。
3. Old Faithful
このエリアは、ビジターセンターや宿泊施設、レストランなどがあり非常に混雑しています。
主な見所としては、定期的に巨大な蒸気を吹き出すOld Faithful Geyserと、世界最大のログハウスと言われているOld Faithful Innです。
Old Faithful Geyserは、常に79分〜109分の間隔で、高さ30m〜50mもの巨大な蒸気を放出するためその動向が予測しやすく、「Faithful Geyser(忠実な間欠泉)」と呼ばれているみたいです。
このエリアに到着したら、まずはビジターセンターなどで次の爆発が起こる時間を確認しましょう。
次の爆発まで時間があるようなら、ここでお昼を済ませたり、お土産を買い漁ったり、Old Faithful Innを見学するなどして時間を潰すことが可能です。
爆発のタイミング次第ではありますが、このエリアだけで2時間以上を費やすことも考えられるため、サウスループを回る一日は、このエリアを中心として計画を立てることをオススメします。
4. West Thumb Geyser Basin
このエリアからは、イエローストーン湖を一望することができます。
イエローストーン湖は、海抜2,357mに位置していて、この標高に位置する湖では北米最大の湖となっています。
見所はWest Thumb Geyser Basin Trailというトレイルの周辺に位置している無数の熱泉で、驚くほど透明度の高い熱泉は美しくもあり、その奥行は恐怖を感じさせるほどです。
我々はこのトレイルの途中でエルクに遭遇しましたが、イエローストーン国立公園の園内ではどこでも野生動物遭遇する可能性があります。
5. Mud Geyser
このエリアはドロドロに溶けた溶岩のような巨大な間欠泉が見所です。
一言で「間欠泉」と言っても、そのサイズや種類・容姿は様々であり、本当にイエローストーン国立公園の自然の多様性を感じます。
Mud Volcanoの近くには、Dragon's Mouth Springという、龍が巨大な口から息を吐いているように見える変わった形の熱泉があります。
小さな展望台に登ると、龍の息吹のような轟音や飛沫を直に感じることができ、個人的にとても印象に残っているスポットでオススメです。
【注意点】
Mud Geyserから更に北上すると、Canyon Villageというエリアに突き当たりますが、ここは見所が非常に多いため、サウスループを回る日はスキップすることをオススメします。
冒頭で、ノースループとサウスループを分けて回るべきと伝えましたが、もっと正確にいうと、「Old FaithfulとCanyon Villageは別日にするべき」と言えるでしょう。
Old Faithfulはサウスループの深いところにある一方で、Canyon Villageはノースループとサウスループの交差点に位置するので、必然的にCanyon Villageをノースループの日程に練り込む形になります。
6. Norris Geyser Basin
一日の最後は、入り口近くのNorris Geyser Basinを回ります。
ここは、イエローストーン国立公園で最も古く、最も熱く、最も変化に富んだ熱泉地帯と言われています。
このエリア一帯が全て見所となっているのですが、とにかく広いので、残り時間と体力とを照らし合わせて、一部は翌日以降に回してしまうというのも一つの手段です。
こちらも位置的にはノースループとサウスループの境目にあるので、ノースループの途中で立ち寄ることも現実的に十分可能になっています。
ちなみに我々が訪れたのは10月中旬の最終営業日間際だったので、日照時間も短く寒波に見舞われたこともあって、日暮れ時に一部を駆け足で見て退散する羽目になりました。
Day2 : ノースループ沿いの見所を巡る
観光2日目は、ノースループ沿いの見所を巡りましょう。
もしもノースループを初日に回りたい場合は、上記の日程と入れ替えるだけで問題ありません。
我々の体験談ですが、ノースループの方が野生動物との遭遇機会が多く、バイソン渋滞やエルク渋滞(動物の群れが道を塞いで車両が通れない)に複数回巻き込まれて想定以上に時間を食うことが多かったです。
また、サウスループよりも見晴らしのいい道路が多く、絶景を楽しみながらのんびりとドライブすることが可能です。
ノースループの見所一覧
2021年6月現在、ノースループの道路の一部が封鎖されていて、一部の見所が見れないのに加えて、「ループを一周回る」ことができません。
我々が訪れたときも積雪により同様の封鎖が行われていたため、「ループせずに途中で折り返す」という手段を取らざるを得ず、余計に時間がかかってしまったので、皆様に置かれましても十分に留意しておきましょう。
以下の数字は西口からエントリーした我々が回りやすかった順番になっていますが、ループができない故に、人によって回る順番はかなり違ってくるかと思います。
1. Canyon Village
初日にスキップしたエリアですが、イエローストーン国立公園のグランドキャニオンとも呼ばれていて、見所が非常に多いエリアになっています。
端的に言うと滝が有名で、その瀑布を見下ろしたり見上げたりするルックアウトポイントまでのトレイルと景色が見所となっています。
楽しみ方は無数にありますが、割と手軽にアクセスできる必見スポットを以下に挙げておきたいと思います。
Inspiration Point
車でのアクセスが比較的よく、渓谷の間を流れる川を見下ろすことができます。
この部分を特に「イエローストーン国立公園のグランドキャニオン」と呼びますが、非常に気持ちのいい場所です。
Brink Of The Lower Falls
急勾配で高低差がある少しきついトレイルですが、距離自体はそれほど長くありません。
滝を真上から見下ろすことができるスポットであり、落ちた滝が再び川となって渓谷の間を流れていく様子は圧巻の一言です。
あまり下調べをせずに行ったので、いい意味で期待を裏切られるスポットでした。
Brink Of The Upper Falls
こちらも上記同様に、滝を真上から見下ろすことができるスポットです。
我々は猛烈な積雪によって道中で2時間以上の足止めをくらい、時間的にスキップする他なかったのですが、Brink Of The Lower Fallsかこっちのどちらかだけという選択肢もありかもしれません。
2. Mammoth
マンモスはイエローストーン国立公園内にある小さな町で、宿泊施設やレストランなどが点在しています。
エルクが住み着いているのか不明ですが、我々が訪れたときにはあたり一面に群れで闊歩していて、レンジャー達が必死で交通整理をしていたのが印象的でした。
この近辺の見所は、Mammoth Hot Springsと、そのテラス状になった地形です。
長年の堆積や浸食を経て、段々畑のようになった熱泉はトルコのパムッカレを彷彿とさせます。
上段と下段があり、それぞれに駐車場があるのですが、どちらに停めても最終的に全部見て回るのであれば変わりはありません。
3. Tower Junction
こちらのエリアは、残念ながら我々が訪れた時には豪雪の為通行止めになっていました。
また、2021年6月現在でも何かしらの理由で通行止めになっているらしく、本当は見所がたくさんあるのでしょうが、アクセス困難となっています。
イエローストーン国立公園の道路状況は刻一刻と変わるため、常に最新の情報を以下のウェブサイトから取得しておくことをオススメします。
➡ Park Roads - Yellowstone National Park (U.S. National Park Service)
見ての通り、右上の部分が通行止めになっている関係で、東はCanyon Villageまで、北はTower Junction手前までで折返しが必要になります。
このエリアに関しては、いずれ更新できればと思います。
まとめ
以上、イエローストーン国立公園観光における、筆者なりのモデルコースについてご紹介をしてきました。
もちろん、イエローストーン国立公園の見所はこれだけに留まらず、細かいスポットをじっくり回るのであれば贅沢に一週間などを費やす必要があるでしょう。
しかし、我々のように時間が限られており、丸2日間で可能な限りを回ろうと思ったときに、この記事のモデルコースがプランニングのお役に立てるかもしれません。
また、一番の楽しみは野生動物との遭遇であり、日本ではお目にかかれない動植物との偶然の出会いこそがイエローストーン国立公園観光を完璧なものにしてくれるはずです。
そういう意味では、百人いれば百通りの答えがあるのも、イエローストーン国立公園観光の魅力と言えるでしょう。
こちらの記事もどうぞ
Sponsored Link