日本から遠く離れた国で、頼れる人も少ない中で過ごさなければならず、とにかく不安や悩みが尽きない海外駐在。
夫や妻の赴任に合わせて帯同してきた方々の不安は、赴任者本人の想像を絶することだと思います。
そんなタイミングに出産という最大級のライフイベントが重なると、飛び上がるほど嬉しい反面とにかく不安な気持ちが押し寄せてきます。
実際に夫の赴任に巻き込まれアメリカに引っ越し、コロナ禍での妊娠・出産を経験した身として、妊娠判明から出産までの流れを実体験に基づいて解説していこうと思います。
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妊娠したかもしれないと思ったら
アメリカで妊娠検査キットを買う場合、WalgreensやCVSなどの薬局だけでなく、WalmartやTargetに入っている薬品売り場でも買うことができます。
商品によっては生理日前から分かるものもあれば、デジタルで結果が表示されるものなど様々で、日本よりも種類が多いのではないかと思うほどです。
妊娠が判明したら焦らず産婦人科探し
市販の妊娠検査キットを使って妊娠が判明しても、焦って病院には行きません。
というのも、アメリカでは最初の検診は妊娠8週目以降に行われることが多く、妊娠が判明しても結果的に産婦人科に訪れるのは結構先になる場合が多いからです。
そのため、妊娠がわかったらまずは落ち着いて今後お世話になる産婦人科医を探します。
Tips: 産婦人科は英語でOB/GYN(Obstetrics and Gynecology)と言います。読み方はそのまま「オービージーワイエヌ」と発音します。
産婦人科医探しは非常に重要で、我々は以下のような観点で探しました。
- 加入している保険でカバーされるかどうか
- 出産するまで何度も通うので医者と話が合うかどうか
- 何かあったときを考えて自宅から遠すぎないかどうか
1)加入している保険でカバーされるか
これは最初にして最大の重要事項ですが、例えば家のすぐ隣に有名病院があったとしても、保険の対象外であればそれは砂上の楼閣です。
実際に我々も近所に地域で最も大きく最先端の総合病院があったのですが、旦那の会社が加入している保険ではカバーされる産婦人科医がいないことが判明し、やむなく別の産婦人科医を探すことになりました。
ちなみにアメリカの場合は同じ病院に勤務している医者でも、適用される保険が違う場合があるので注意が必要です。
語弊があると思いますが、医者という個人事業主が病院の設備を共有していると仮定すると、病院単位ではなく医者単位で違うイメージが湧きやすいかもしれません。
➡ アメリカ健康保険の基本・ネットワークとその種類 - HMO, PPO, EPO | US Health Insurance Support for Japanese
保険会社によっては、ネットワーク内の医者を検索できるツールがあるのでウェブサイトやアプリなどをチェックしてみましょう。
2)出産するまで何度も通うので医者と話が合うか
もしも日本に一時帰国して出産する場合はいいですが、そうでない場合は約8ヶ月に渡って同じ産婦人科医にお世話になることを意味します。
事前に評判を調べておくことはもちろんですが、実際に会って話をしてみて任せられそうな人を選ぶようにしましょう。
我々は経験豊富なアジア系のバックグラウンドを持つ女性の医者が見つかり、とても楽観的に相談に乗ってくれる先生で色々と助けられました。
逆に楽観的すぎてちゃんと質問に答えて貰えていないように感じる人にとっては嫌かもしれませんし、今振り返ると性格的な相性は案外重要だと思います。
3)何かあったときを考えて自宅から遠すぎないか
これは言わずもがなですが、東京に住んでて北海道の産婦人科に通う人はいないでしょう。
同じように、自宅からの距離はもちろん、会社からの距離なども病院選びの重要な点になり得ます。
ちなみに日本では約60%の人が自宅から車で15分以内の産婦人科へ通っており、30分以内の場合だとその数は約97%に上るようです(*source) 。
我々のケースだと、自宅から車でちょうど15分だったので日本と似たような距離感で見つけられたということになりそうです。
産婦人科医を見つけたら早速アポ取り
無事にコンタクトしてみたいと思う産婦人科医が見つかったら、早速コンタクトをしてみましょう。
上記でどうせしばらくは見てくれないので焦らずに!と言いましたが、前回の生理日などを聞かれ、その上で病院側から初診日時の候補を挙げてくれるはずなので、予約は早めにしてしまうことも可能です。
人気のあるお医者さんになると既に多くの患者を抱えていて、新規での患者の募集をしていないこともあるので、そういった点も擦り合せをしなければなりません。
しかし、出産が終われば患者は続々と離れていくので、しっかり回転はしていると思います。
初回検診の流れについて
各病院によって当然違いはあると思いますが、初診の大まかな流れは以下のような形でした。
- 病院到着
- 身分証明・保険証の提示及び問診票の記入
- プライバシー誓約書等への署名
- 看護師による体重測定及び口頭での問診
この際、様々なことを矢継ぎ早に質問されるので、事前に回答を準備しておくとスムーズになります。
- 最終月経日
- 生理周期
- 過去の妊娠歴
- アレルギー有無
- 手術歴
- 家族や親族の病歴(ガンやダウン症など)
- 子宮頸がん検査歴
- 現在服用している薬など
上記は実際に聞かれた質問ですが、当日いきなり聞かれても答えに迷うものもあるため、事前に英単語を調べたり、回答を準備しておくと良いです。
その後いよいよドクターと対面となり、同じような問診があった後、診察台の上に載せられて胎児の様子を確認してもらいます。
- 腹部エコー及び心音チェック
- 質疑応答
- 尿検査
- 血液検査
ここでの最重要ポイントは、質疑応答です。
たまたまかもしれませんが、今までにかかったアメリカのお医者さんはこちらから質問をしない限り多くを教えてはくれません。
日本だと誘導的にあれこれ聞いてくれて、いつの間にか不安や悩みが解消されていたりすることもありますが、アメリカでは自分の意思表明が大切なのでしょう。
そのため、事前に気になることや不安なことを質問形式でまとめておき、質疑応答のタイミングで能動的に尋ねるようにしましょう。
どういう異変に注意を払うべきか、つわりや食べ物の悩みはどうすればいいか、旅行や帰国の予定があるが大丈夫か、など思いついたことを事前に書き出しておくようにすると有意義な時間を過ごすことができると思います。
一度何も考えておらず「特になにもない」と言ったら、ほんとに数分で診察が終わってしまったこともあり、後日しっかり目を見張るような請求が保険会社に行っていました(自己負担はゼロでしたが)。
ちなみに、ワンピースよりは、上下が分かれる服のほうがいいと思います。
初回検診以降のざっくりした流れ
無事に初回検診が終わり、ドクターと上手くやっていけそうな場合はその後も指示通りに通院をしていけば大丈夫です。
詳細は別の機会に説明したいと思いますが、非常に大まかな流れでいうと以下のような形になるかと思います。
- 初診(8週目以降)
- 月一妊婦健診(妊娠7ヶ月迄)
- 妊娠中期スクリーニング(妊娠5ヶ月/20週目)
- 隔週妊婦健診(妊娠8ヶ月以降)
- 週一妊婦健診(妊娠9ヶ月以降)
こうやって見ると、妊娠7ヶ月頃までは月に一回しか通わないためほんとにこれでいいのかと不安になってしまいますね。
日本と特に大きく異る点は、アメリカではエコーによる診察はほとんど行われず、定期検診の際には心音チェックのみで済まされることがほとんどでした。
これもネットに散らばっている情報によって様々ですが、私達のケースに限って言えば、初診時と20週目の検診の際しかエコーによる診察がなく、逆に不安になってしまったくらいでした。
初診以降の流れに関しての記事も書いていますので、是非ご覧下さい。
➡ どんな検査が待ってる?アメリカ駐在中の出産体験、妊娠中期編を実体験を基にご紹介。 - 山岳部標準時帯で暮らすアメリカ駐在員のブログ
➡ 妊娠後期にやっておくべきこと!アメリカでの出産経験を基に出産までの流れをご紹介します。 - 山岳部標準時帯で暮らすアメリカ駐在員のブログ
まとめ
以上、アメリカで妊娠が発覚した際に、どういう流れで産婦人科へ行くのかを実体験を基にして解説をしてきました。
もちろん地域や病院、その他様々なバックグラウンドによって流れが違うこともあるかと思いますが、少なくとも日本の流れとは異なるので注意が必要だと思います。
そうなると必然的に英語で情報収集するほうが確実なのですが、このような日本語で書かれた記事が少しでも増えて、より多くの人の役に立てば幸いです。
こちらの記事もどうぞ
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