アメリカの納豆価格は3~4パック入りで2ドル程度でしょうか?
元々の単価が安いこともあり、アメリカの輸入食品価格に慣れてくると「そんなものか」とも感じてしまいますが、冷静に考えると日本のスーパーで59円で売っているものなので「いくらなんでも」という気持ちも同時に芽生えてきます。
この記事では、赴任後半年以上納豆を手作りし続けて、ネット上の情報を総合的に組み合わせ、経験によってアップデートした、失敗しないひきわり納豆の作り方を紹介したいと思います。
ひきわり納豆ではなく普通の納豆がいい場合も、一部を除いて全く同じ手順で作ることが可能なので、好みに応じて読み飛ばしていただければ大丈夫です。
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納豆作りに必要な道具
この記事でご紹介する自宅でひきわり納豆を手作りする方法では、以下の道具が登場します。
- インスタントポット(ヨーグルトモード付きのもの)
- タネとなる納豆菌(市販のパック納豆でOK)
- 乾燥大豆150g~適量(出来上がりの分量は2倍~2.5倍になる)
- 納豆を小分けで保存するための容器
- お箸
- ボウル
- ザル
- サランラップ
- キッチンペーパー
- ステンレス製のバット
- 包丁
完成までの全体工程と所要時間
実際の詳細な工程を説明する前に、大まかなスケジュールを説明しておきます。
- 乾燥大豆を水で戻す(12時間)
- 戻した大豆を高圧で茹でる(40分)
- 茹でた大豆を納豆菌で発酵させる(24時間)
- できた納豆を冷蔵庫で熟成させる(24時間)※この段階で納豆は完成
- 冷凍庫で冷凍する(適当)
- 包丁で切ってひきわり納豆にする(適当)
- 食べやすい量に小分けにして保存(適当)
4番目のステップが終われば納豆としては完成しているので、完成までの必要な所要時間は約61時間が目安時間と言えるでしょう。
そこからひきわり納豆に加工する作業を行うので、更に3~4時間程度見込んでおくと良いと思います。
具体的なスケジュール感を挙げると、金曜日の夜に作業を始めた場合、月曜日のお昼頃には完成するイメージとなります。
一見果てしなく長いように感じますが、実際に手を動かして作業をする時間は30分もないので、一見するよりも全然楽に作ることができます。
インスタントポットでひきわり納豆を作る方法
それでは、具体的な作業内容と、それぞれの作業のポイントを解説していきたいと思います。
1.乾燥大豆を水で戻す
まずは市販の乾燥大豆を水で戻すところからスタートします。
ボウルでもなんでもいいので乾燥大豆を入れて、大量の水でひたひたに浸けておきましょう。
12時間浸けておくので、12時間後に作業できる時間を選んで下さい。
参考までに、今回は乾燥大豆を150g用意し、結果的に320gの納豆が出来上がりました。
市販のパックに換算すると約8パック相当になり我が家は1週間以上持つ量ですが、作る量は各家庭によって2倍にするなど適当に決めて下さい。
ただし、いきなり大量に作って失敗すると悲惨なので、ある程度慣れるまではこちらの手順通りに作ることをオススメします。
メモ
- 12時間後に作業ができるタイミングを選びましょう。
- 完成重量は乾燥大豆の約2倍程度になります。
- 一回目は150g程度で試作して、徐々に量を増やすのが賢明です。
2.大豆をインスタントポットで加圧調理する
水を吸って大きくなった大豆は、ザルにあげて流水ですすぎ洗いします。
ザルからインスタントポットに移し替え、大豆全体が浸かるよう水を注ぎます。
機種によって異なるかもしれませんが、インスタントポットの"Pressure Cook"のボタンから、"High Pressure"を選択し、タイマー40分で高圧調理していきます。
そのまま自然減圧させてもいいですが、我が家の場合はしっかりした歯応えを残したいので、40分経過のアラームがなったら間髪入れずにクイックリリースで減圧しています。
2-1.市販の納豆を解凍する
インスタントポットで大豆を茹でている間に、市販の納豆を解凍しておきましょう。
私の住む地域では冷凍の納豆しか買えないのですが、冷蔵の納豆が手に入る場合はこの限りではありません。
2-2.道具を熱湯消毒する
インスタントポットで大豆を茹でている間に、お箸・ボウル・ザルを熱湯消毒しておきます。
本当は巨大な鍋でグラグラと煮沸消毒した方がいいと思うのですが、楽をしたいので電気ケトルでお湯を沸かして全体にバシャバシャお湯をかけるだけです。
2-3.解凍した納豆を熱湯消毒しタネ納豆を作る
熱湯消毒したボウルに、解凍した納豆を1/2パック分投入し、同じく熱湯消毒したお箸で粘り気が出るまでかき混ぜていきます。
ある程度かき混ぜることができたら、熱湯を加えて納豆を溶いていきます。
この時、熱湯を入れすぎると完成時の粘り気が弱くなってしまうので、15cc(大匙1杯以下)にしておき、「納豆のネバネバをお湯で軽くほぐしてあげる」くらいのイメージにすると粘り気の強い納豆ができます。
メモ
- タネ納豆の量は乾燥大豆の量によらず基本1/2パックで大丈夫です。(皆様が作る量は乾燥大豆150gの2~3倍程度までの量を想定していますので、それ以上の場合この限りではありません。)
3.茹で上がった納豆とタネ納豆を混ぜる
インスタントポットの圧を抜いた後、蓋を開けると大豆の皮が大量に水面に漂っていると思います。
取り除いても取り除かなくても結果に大きな差はありませんが、我が家の場合はオタマを使ってある程度取り除いてしまっています。
インスタントポットを斜めに傾けながら、灰汁を掬うようにすると素早く取り除くことができます。
茹で上がった大豆は、熱湯消毒したザルに上げて水気を切ります。
上記の2-3の通り、水気が多すぎると完成時の粘り気が弱くなるので、手早く強めにザルを揺すりながらしっかり水気を切るのがポイントです。
水気を切ったら熱々の状態で上記2-3のタネ納豆が入ったボウルに移し替え、タネ納豆のネバネバを全体に行き渡らせるイメージでしっかり混ぜ合わせます。
4.ヨーグルトモードで発酵させる
タネ納豆と大豆が混ざり合ったら、インスタントポットのヨーグルト機能を使って24時間発酵させていきます。
我が家の場合、ボウルごとインスタントポットに入れていますが、適当なサイズのボウルや容器がない場合、或いは大量に作る場合はインスタントポットに大豆を直接入れても大丈夫です。
どちらの場合にしても、インスタントポットの内釜は熱湯消毒しておき、納豆菌以外の雑菌を繁殖させないことが成功の秘訣です。
内釜を戻したら、キッチンペーパー➡サランラップの順に被せ、最後にインスタントポットの蓋を軽く乗せます。
キッチンペーパーは発酵の過程で発生した余計な水分を吸収するためで、サランラップは保湿のため、本体の蓋は内部を一定に保温するためです。
サランラップとキッチンペーパーを誤って逆にした場合、発生した水蒸気はサランラップに触れて水滴となり、ポタポタと滴り落ちて発酵中の大豆が水攻めに遭ってしまいますので気を付けましょう。
あとは、ヨーグルトモードでタイマーを24時間にセットして放置しておくだけです。
メモ
- インスタントポットの蓋は完全に閉めずに乗せておくだけで大丈夫です。(普通は捻りながら蓋をすることで電子音が鳴ってカチャっと完全密閉になると思いますが、キッチンペーパーとサランラップの上から蓋を被せるので、そもそも密閉はできないと思います。文字通り「蓋を乗せるだけ」で大丈夫です。)
- ヨーグルトモードでの発酵中は、中の様子が気になりますが開け閉めは絶対に厳禁です。
5.発酵が終わった納豆を冷蔵庫で熟成させる
待ちに待った24時間後、蓋を開けてキッチンペーパーとサランラップを取り除くと、鼻を突く異臭と共に、光沢を失った大豆の姿が確認できると思います。
熱湯消毒したお箸で少しだけかき混ぜてみて、全体的に糸を引いていれば納豆作りは大成功です。
この時点でも食べることはできますが、かなり臭いがキツイと思うので、ボウルごと冷蔵庫で更に24時間冷やしておきましょう。
こうすることで、異臭が軽減され、粘り気も更に強くなります。
ひきわり納豆ではなく普通の納豆の場合は、冷蔵庫に入れて24時間経った時点で完成となりますので、以下のステップ8まで読み飛ばしてもらっても大丈夫です。
6.納豆を冷凍庫で凍らせる
冷蔵庫から取り出した納豆をステンレスバットに薄く伸ばして敷いて、冷凍庫で板状にカチカチに凍らせましょう。
もちろん、ステンレスバットに敷かずに、そのままボウルで凍らせても問題ないのですが、この次のステップで手こずる可能性があるので、一手間加えておくことをオススメします。
7.凍った納豆を包丁で好みのサイズに刻む
凍った納豆は硬そうに見えますが、取り出して直ぐに包丁で切り刻むことができます。
凍っていない場合、切るたびに納豆のネバネバが増殖してツルツル滑るため非常に切りづらいのですが、凍らせている場合は糸を引かずにサクサクと軽快な音を立てて切り刻むことが可能です。
ここでどのくらい細かく切るか、切り方によって食感が変わるので、お好みで調整していただければと思います。
上記のステップでステンレスバットに敷いて凍らせる理由ですが、ボウルから取り出してまな板の上で凍った納豆の塊を切り刻むと、余計な力を使って危険なのと、そのままステンレスバットの上で切り刻むことで、洗い物が楽になるからという理由からです。
メモ
- 切り刻んだ後にステンレスバットに残ったネバネバは、食塩水に浸しておくときれいになります。恐らく、納豆のネバネバが味噌汁に浸したお箸でスパッと切れるのと同じ原理だと思います。ちなみに、まな板ではなくステンレスバットを使うことで食塩水を貯めておけるのも便利です。
8.納豆を小分けにして保存する
完成した納豆は、一食分毎に小分けして保存しています。
オススメの容器は、ZiplocのExtra Small Square Container(8個入)で、ウォルマートで偶然見つけたので購入しました。
乾燥大豆150gから320g程度の納豆を作る場合、市販サイズと同じ約40gずつに小分けしてちょうどいい感じに収まるという計算になります。
もちろん、一回で食べる量は家庭によって異なりますので、例えば家族全員分で一回に120g食べるという場合は、120gずつ小分けしておける容器を探せばよいだけです。
ちなみに保存方法ですが、我が家はひきわり納豆にする段階で一度冷凍してしまっているので、基本的に全て冷凍庫で保管しています。
終わりに
日本にいたときは極小粒納豆を好んで食べていたのですが、アメリカで市販されている乾燥大豆はどれも大粒のものばかりだったので、このような方法を編み出しました。
実際の食品メーカー様がどのようにひきわり納豆を作っているか知る由もないですが、家庭で作る場合は、「砕いた大豆で納豆を作る」か「完成した納豆を切り刻む」のどちらかになると思います。
砕いた大豆で納豆を作る場合、「フードプロセッサーが必要」「適切な大きさに砕けるか分からない」「適切な茹で時間で茹でれるか分からない」という複数の課題に直面することになります。
そもそも我が家にはフードプロセッサーがないので、後者の「完成した納豆を砕く」という選択肢しかなかったのですが、何度も作ってみて、結果的に一番失敗が少ない方法なのではないかと思っています。
アメリカで、特にお子様がいる家庭では、納豆は贅沢品の部類に入ってきてもおかしくないでしょうし、これを機に手作りという選択肢も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
手間暇かけて納豆が無事に出来上がったときの喜びはひとしおですよ!
※上記レシピに習って発生した食あたり等の事故に関しては、筆者は責任を負いません。自己責任の上、衛生に最大限の注意を払ってお試し下さい。
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