アメリカに赴任してきて銀行口座を申し込む際、「どれにしますか?」といわれて見せられた表にはよくわからない口座の種類がたくさんあって迷子になってしまう。
それもそのはずで、日本とは口座の呼び方が微妙に異なっており、目的によって契約すべき口座の種別も当然異なってきます。
知らずに契約してしまうと余計な費用が発生したりして、後からトラブルの種になりかねません。
今回の記事では、今後アメリカで生活をするにあたって、知っておきたい銀行口座について解説していきたいと思います。
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- 必ず押さえておきたい3種類の口座
- 1. Checking Accountは決済用の口座
- 2. Savings Accountは貯蓄用の口座
- 3. Certificate of Deposit(CD)は定期預金用の口座
- まとめ
必ず押さえておきたい3種類の口座
普段の生活圏で使う口座は限られており、まずは以下で紹介する3種類の違いを把握しておけば問題ないでしょう。
- Checking Account(当座預金口座)
- Savings Account(普通預金口座)
- Certificate of Deposit(定期預金口座)
以下で、それぞれの違い、用途、発生する恐れのある費用など、契約するに当たって押さえておきたいポイントを解説していきたいと思います。
1. Checking Accountは決済用の口座
チェッキングアカウントは、いわゆる皆様が想像する銀行口座にあたるかと思います。
日本人はあまり馴染みがないですが、アメリカでは個人でもcheck(小切手)での決済を行う人が多く、「check(ing)」という言葉が入っている通り、従来は小切手を払い出すための決済用口座でした。
最近では小切手に代わって、デビットカード等が主要な決済手段となっていますが、デビットカードが紐付けられるのがこの口座であり、給与の受取を含め、日常的な決済に充てるお金を管理するための口座と思っておけばいいでしょう。
Checking Accountの主な費用
日本ではATMなどで手数料を取られたりするものの、銀行口座を持っているだけで費用がかかることは滅多にないと思います。
しかし、国が変われば事情も変わるのは当然で、Checking Accountを契約するにあたって、以下の費用が発生する可能性があることを十分に留意しておきましょう。
例えば、とある銀行窓口で「Checking Accountを作らせてくれ」と尋ねると、「○○ Checking」「△△ Checking」「□□ Checking」など、複数の商品を提示される場合は、商品によって以下の費用が異なってくる場合が多いです。
自分のライフスタイルに合った口座を見つけ、費用を最低限に抑えることが大事です。
- 口座維持費用
- Check Book(小切手の束)発行手数料
- ATM利用手数料
- Overdraft(当座貸し越し)手数料
口座維持費用
商品によって、口座維持費用が定められていることがあります。
これは、その口座を保有しているだけで毎月発生する費用であり、Chase Total Checkingを例に挙げると、毎月12ドルとなっています。
毎月払うなんて勿体無い無理!と思うかもしれませんが、ほとんどの場合はこの費用をWaive(免除)できる条件が別途定められていますので安心して下さい。
業界標準となっているWaiveの条件は以下のようなものがありますが、商品によって微妙に異なるので、事前にしっかり確認しておくことをオススメします。
- Direct Deposit(給与振込口座)に指定すること
- 又は、定められた最低預金額を上回る金額を常に維持すること
例えば、上記で挙げたChase Total Checkingの場合、以下のような条件で毎月12ドルが免除されます。
$12 monthly service fee OR $0 with one of the following each monthly statement period:
- Electronic deposits made into this account totaling $500 or more, such as payments from payroll providers or government benefit providers, by using (i) the ACH network, (ii) the Real Time Payment network, or (iii) third-party services that facilitate payments to your debit card using the Visa® or Mastercard® network
- OR a balance at the beginning of each day of $1,500 or more in this account
- OR an average beginning day balance of $5,000 or more in any combination of this account and linked qualifying deposits(Opens Overlay)/investments
【超意訳】毎月500ドル以上の給与が振り込まれるか、毎日1,500ドル以上の残高を維持できれば12ドルの口座維持手数料は免除します。
Source: chase.com
ちなみに、この口座維持費用のために、Wells Fargo(ウェルズファーゴ)のChecking口座を1年未満で解約したことがあり、参考にしてみて下さい。
➡ ウェルズファーゴの銀行口座を解約。駐在中にメリットのない口座はどんどん解約しよう! - 米国の僻地で暮らす駐在員のブログ
Check Book(小切手の束)発行手数料
今となってはほとんど使われないcheckですが、極稀にcheckでしか精算できないケースが存在します。
筆者の場合、電気料金を誤って延滞してしまった際、遅延損害金の支払いはcheckでしか受け付けていないという憂き目に遭いました。
銀行によっては、このcheckの発行に手数料がかかることがあります。
checkには自分の口座番号などの情報が記されているため、人からcheckを貰うということもできないのでご注意下さい。
ATM利用手数料
こちらは日本でも同様の仕組みなので言わずもがなだと思います。
アメリカでも自行のATMネットワークの中なのか外なのかによって、現金を引き出す際に手数料が異なってきます。
ただし、日本よりも遥かにキャッシュレスが進んでいるので、今となっては現金を引き出すという行為自体がプチ体験だと思います。
Overdraft(当座貸し越し)手数料
聞き慣れない言葉ですが、一部の銀行ではChecking AccountにOverdraftというサービスを付帯することができます。
例えば、デビットカードで100ドルの商品を購入した場合、即座に紐付口座から100ドルが支払われる訳ですが、口座残高が50ドルしかなかった場合、通常は資金不足で決済が否決されてレジで立ち往生してしまうことになります。
クレジットカードの場合は、後日まとめて請求がくるのでとりあえず決済は通るはずですが、即時決済のデビットカードならではの出来事でしょう。
この時、Overdraftという当座貸し越しサービスが付帯している場合、一旦口座残高をマイナスとして(銀行が不足分の50ドルを緊急融資してくれるイメージ)、決済を承認してもらうことが可能なのです。
要するに、Overdraftというのは口座残高が一時的にマイナスになっても大丈夫なように自動的にお金を貸し付けてくれるサービスのことを指し、当然手数料が発生することになるのです。
素直に決済が否決された方がいいという場合は、このサービスに加入しなければいいだけなので、口座開設時にOverdraftを付帯しない旨を伝えればOKです。
2. Savings Accountは貯蓄用の口座
セービングスアカウントは、その名の通り貯蓄用の口座となります。
主な特徴としては、Checking Accountよりも利率が高く、普段使わないお金を寝かせておくのに向いています。
小切手やデビットカードはこの口座に紐付けることができないので、この口座から直接決済することは一般的には不可能である点がChecking Accountとの最大の違いです。
ただし、クレジットカードの引き落としや家賃、光熱費といった銀行口座から直接引き落とされるタイプの決済はSavings Accountから行うことが可能です。
日本でいう定期預金口座と思うかもしれませんが、定期預金口座とは少し性質が異なり、資金の出し入れは基本的に自由であり、筆者はどちらかというとChecking Accountの延長線上というイメージを持っています。
Savings Accountの主な費用
Checking Accountに比べてサービス自体がシンプルな構造になっているものの、銀行間における費用の閾値が全く異なるのがSavings Accountです。
どういうことかというと、以下の費用はほとんどの場合でWaiveすることが可能ですが、銀行によってその「条件」が大きく異なるということです。
- 最低預金額維持費用
- 預金引き出し手数料
最低預金維持費用
銀行によっては、口座開設時に一定額以上を入金しないとそもそも開設できないなどの制限が存在します。
その後の取り扱いは銀行によってバラバラで、預金を引き出して一定額以下になると口座維持手数料がかかったり、一定期間経過後は残高を自由に引き出せるなど、事前に商品の内容に目を通しておくことをオススメします。
理想は最低預金額の制限がない口座を開設し、生計費であるChecking Accountの残高が減ってきたときに残高を気にすることなく補充できるのが良いと思います。
個人的には最低預金額の制限がないAMEXのHigh-Yield Savings Accountをオススメしています。
➡ 【驚異の利率】アメリカンエキスプレスのHigh-Yield Savings Accountのメリット、デメリット。 - 米国の僻地で暮らす駐在員のブログ
預金引き出し手数料
Checking Accountは日々お金が出入りすることが前提の口座ですが、Savings Accountの場合は激しい出入りを想定していません。
そのため、多くの場合で出金回数に制限があり、「月に〇回までは無料」といった取り決めがなされています。
ここで言う出金とは、当該Savings Accountから他の口座に振り出しする場合も、ATMで出金する場合も含まれています。
この定められた回数を超えて引き出しを行うと、その度に手数料が発生するという類の費用であり、本来想定されている用途であれば滅多に発生しないはずですが、契約時には十分に留意しておきましょう。
尚、2020年に米政府によりこの上限制度は廃止されたので、今となってはほとんど見かけることはないかもしれません。
3. Certificate of Deposit(CD)は定期預金用の口座
サーティフィケートオブデポジット(通称:シーディー)と呼ばれ、あまり聞きなれない商品名ですが、上記で紹介したSavings Accountの親戚で、より貯蓄に特化した商品です。
日本でいうところの定期預金口座のようなもので、3ヵ月、6ヵ月、1年、2年、3年、5年などといった期間の定めがあり、一度預け入れると満期が来るまで原則として引き出すことができません。
その代わり、一般的なSavings Accountよりも高い利息配当を受け取ることができます。
銀行によって口座開設時に預けなければならない最低預金額は異なりますが、数千ドル~数万ドル程度のまとまったお金を運用するための商品だと覚えておきましょう。
Certificate of Depositの主な費用
それなりのまとまった金額を預けることが前提のため、あまり細かい費用は発生しないですが、以下の費用が一番身近だと思います。
- 早期引き出し手数料
早期引き出し手数料
原則として期日の定めはあるものの、やむを得ない事情で満期を待たずして預金を引き出すケースがあると思います。
その際に、違約金のような形で費用を請求されることがあります。
一般的に、期間が長くなればなるほど受け取ることのできる利息も増えますが、その分、途中で解約してしまうリスクも増えるので注意が必要です。
特に、駐在員は任期が明確でない場合も多いと思いますので、むやみやたらに長期のCDを契約をしてしまうと痛い目に遭うかもしれません。
まとめ
以上、アメリカの銀行口座で最も一般的な3種類の商品について、それぞれの特徴や発生し得る主要な経費を解説してきました。
冒頭に書いたことの補足になりますが、なぜこのような知識が大切かというと、銀行の窓口などで説得されるがままに「Overdraft付きのChecking Account」「最低預金制限付きのSavings Account」「最長5年のCertificate of Deposit」を勢いのまま契約したときのことを考えてみて下さい。
デビットカードを使いすぎて手数料が発生したり、簡単にSavingsの預金残高を使えなかったり、帰国が決まったのに預金が引き出せないなど、思いもよらぬ余計な費用が発生してしまう未来が目に見えます。
逆に、しっかりとした知識を持って要点さえ抑えておけば、どの銀行でどの商品を契約するのがいいのか判断できるようになりますし、ひいては効率的な資産運用に繋がっていくでしょう。
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